ゆっくり、のんびり過ごせる「居場所」 /自由空間「ポー」

 

こころにハンディを抱えた人々が、 何もしなくてもよく、ゆっくり過ごすことができる場所。NPO法人自由空間「ポー」は精神障がい者に「居場所」を提供している。


利用者は、うつ、統合失調症、発達障害、人格障害などを患う2030代の若者が中心。元々は精神障がい者のための小規模作業所だったが2006年にNPO法人化された。施設の形態は地域活動支援センー」。障害者自立支援法に基づいて障害者の日中活動をサポートする福祉施設だ。「安心して通える場所」「自分らしさが発揮できる場所」「仲間作りができる場所」そんな施設を目指している。代表理事の本郷秀崇さんに思いを伺った。


障害者自立支援法が制定されて以後、小規模作業所のほとんどが国の方針に従がって就労支援の方向に進みましたが「ポー」はあえて「居場所」にこだわりました。

 

拙速な就労支援は人々を追い込んでしまう、という思いがあったからです。

 

 

 

海外での体験

20代の頃にインドを1年放浪しました。その後、青年海外協力隊に参加して西アフリカのコートジボアールに派遣されました。現地では日本の伝統工芸を教えながら人々との交流を深めました。インドやアフリカには人々が集う『居場所』が、いたるところありました」

 自由空間「ポー」には本郷さんの海外体験が生かされていた。

 

「メンバーさん(利用者)は何時に来ても、何時に帰っても自由です。午前中の昼食作りはメンバー、スタッフが共に昼食の提案をし、その中から一つメニューを決め、一般スタッフ、ピアスタッフをはじめ、手伝えるメンバーさんにもお手伝いしてもらい、皆で昼食作りをします。午後のフリーの時間は、皆でカードゲームをしたり、お茶菓子を囲んでお話をしたりと、のびのびとそれぞれ和気あいあいに過ごしています」

 

ピアスタッフ

「ポー」には職員の他にピアスタッフがいる。ピアスタッフとは、精神障がいがある当事者でありながらもスタッフとして働いている職員のこと。当事者の目線でサポートでき、ピアスタッフ自身が元気になれる、一般スタッフの励みにもなるなどメリットは大きい。今後もピアスタッフの雇用拡大を図り、ピアサポートを支えて行く予定だ。

 

あくまでも当事者が主体。誰もが自由にのんびりと過ごせる「自由空間ポー」では、ピアサポートなど通して縦の関係ではなく、横の関係に徹している。

 

天然素材とハーブの手づくり石鹸
天然素材とハーブの手づくり石鹸

手づくり石鹸

ポーでは毎週水曜日に手づくり石鹸を作っている。パームを原料とした石鹸素地に、オリーブオイルやラベンダーオイル、ドライハーブを加え、ひとつひとつ丁寧に練りこみ、型を使わずに手で成形した後、一か月間、ゆっくりと自然乾燥させてできた逸品。ラッピングもカワイイので、贈り物にも好評だ。宇都宮市内の公共施設などで販売している。

 

 

国際貢献

ポーではフェアトレードなどの国際貢献も行っている。インドネシアのストリートチルドレンが作ったエコバッグをメンバー(利用者)がイベントなどで販売し、売上金はストリートチルドレンの教育費にあてた。支援されるだけの立場から、共に助け合う協働者への転換を目指す。草の根の国際協力と障がい者自立活動のコラボレーションだ。

 

現在の課題

「チベットの秘境国ラダックの人から『ひきこもりとは何か?』と問われて答えに窮しました」

日本人の3人に1人が精神を病んでいるとも言われる今。本郷さんは対策の遅れを憂慮する。


ポーなどの「地域活動支援センター」は医療につながっている人々が対象だが、今の課題は医療につながっていない人々の救済が課題だという。うつ状態など、病気との境界線上(グレーゾーン)にいる人々は増え続けている。しかし、まだまだ社会には、そういった人々が気軽に集える居場所がない。一方、就労支援を目的としないいわば「何もしない居場所」に対して、社会の理解も十分とは言えない。居場所の意義をアピールしつつ事業を発展させていきたい。まずは元気になることが第一、就労支援はその次の段階だ。

 

 

 

 

「5~6年くらい通っている彼(利用者)が元気になって友だちをつくり、家に呼べるまでになったんですよ」 本郷さんは満面の笑みを浮かべた。

「ポー」とは、誰もが「ポー」っとしていられる場所、という意味と、英語のポー(PAW)・「猫の手」の意味。愛らしいみんなの「居場所」だ。

 

団体について


特定非営利活動法人 自由空間ポー

321-0973 栃木県宇都宮市岩曽町1364-6 

TEL・FAX 028-664-4531

 

〇活動日時 月~金曜日 9:00~15:00

〇活動内容 レクリエーション・スポーツ・ものづくり・散歩・お料理・パソコン…などなど

〇ポーの石鹸が買える場所 

  わくわくUショップ(宇都宮市役所1階)

  とちぎ福祉プラザ1階売店


「自由空間ポー」の活動を寄付で支援しませんか。

こちらからご覧ください。

とちコミ運営委員のコメント


ポーさんの、ポーっとした雰囲気に、なんだか、楽しくなった。こういう場所が、今の日本には絶望的なまでに不足している。むしょうにインドに行ってみたくなってきた。本郷さん、私をインドに連れてって~!